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顧客の情報セキュリティを支える、パソナ流「伴走」のかたち

某スーパーマーケットチェーンの情シス部門で、情報セキュリティ強化プロジェクト(株式会社CyberSTAR様からの案件)に取り組むパソナのエンジニア2名。何もないところから運用フローや手順書をゼロからつくり上げるプロジェクト。単なる技術支援ではなく、顧客の組織文化やガバナンスにまで踏み込む「伴走」とは、具体的にどんな仕事なのか。現場リーダーの田中さんと、実務を支える内藤さんに、プロジェクトの裏側を聞いた。

顧客の情報セキュリティを支える、パソナ流「伴走」のかたち

某スーパーマーケットチェーンの情シス部門で、情報セキュリティ強化プロジェクト(株式会社CyberSTAR様からの案件)に取り組むパソナのエンジニア2名。何もないところから運用フローや手順書をゼロからつくり上げるプロジェクト。単なる技術支援ではなく、顧客の組織文化やガバナンスにまで踏み込む「伴走」とは、具体的にどんな仕事なのか。現場リーダーの田中さんと、実務を支える内藤さんに、プロジェクトの裏側を聞いた。

DX

2026/07/10 UP

「何もないところ」から始まった伴走

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顧客の情シス部門に、パソナのセキュリティチームが参画したのは2025年6月のこと。最初に飛び込んだのは、ドキュメントがどこにあるのかさえ分からない、「ないない尽くし」の状況だった。
「資料があるのかないのかも分からない。どこから手をつけていいかも見えない状態でした」と振り返るのは、現場リーダーを務める田中さんだ。25年にわたりネットワーク・インフラを中心にキャリアを積んできた田中さんは、45歳でパソナに転職。前職でもセキュリティ業務に携わってきた経験を、今回のプロジェクトで発揮している。
 
実はこの「何もない」状態は、顧客側もセキュリティに関わる業務に関しては兼業状態が続いていてなかなか手を付けられずにいたことは認識していたことだった。
数年前から社内の体制立て直しが進められており、その一環としてパソナの参画が決まった経緯がある。だからこそ田中さんは、ゼロから枠組みをつくることに前向きな意味を見出している。
 
「決まったシステムを決まった通りに運用するのとは違う。会社全体のセキュリティガバナンスを、一から組み立てていく。なかなかできない経験です」
 
相棒となるのは、内藤さん。もともと芸術系大学で映像を学び、映像業界での仕事を経てIT業界へ転身した異色の経歴の持ち主だ。
パソナの未経験者向けエンジニア育成制度(Engineer-Pass制度)を通じて入社し、別案件でのネットワーク構築業務を経て、本プロジェクトに合流した。
 
「前に携わった案件で脆弱性診断に関わるドキュメント作成の仕事に携わり、そこからセキュリティに興味を持ったんです」
 
二人三脚での挑戦は、今も続いている。
 

ゼロから手順書をつくる。それが顧客全体の「標準」になっていく過程

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内藤さんの日々の仕事は、セキュリティ運用を回すためのフロー図や手順書、チェックリストをゼロから作成することだ。顧客社員一人ひとりにヒアリングを重ねながら、ドキュメントの精度を高めていく地道な作業が続いている。
 
「以前の案件では『指示されたことをやる』ことによって地力をつけてきました。でも今は、自分たちで業務をつくっていく。それが面白いんです」
 
転機となったのは、自分が一から作った資料が承認され、正式な運用ドキュメントとして採用された瞬間だったという。
 
「自分なりに考えて、提案して、それが目に見える実績になった。あの瞬間は本当に手応えを感じました」
 
一方の田中さんは、ベンダーとの折衝や、顧客全体としてのセキュリティ標準化の方向性を描く役割を担う。脆弱性診断の内製化、ランサムウェア対応、バックアップ対応——セキュリティに関わるあらゆる領域を横断しながら、お客様の「困りごと」を整理し、解決へと導く推進役だ。
 
「お客様の情シス自体が、小売業が主たる業務の為、社内的にはどうしてもなかなか理解を得られづらい組織になりがち。だからこそ、外部である私たちがドラスティックに踏み込んでいくことが期待されているんです」
 
二人の連携も独特だ。田中さんは日々の業務の合間や、ちょっとした時間に内藤さんと業務やメンバーについての話を交わし、チーム全体の「歩幅」を合わせることを大切にしている。内藤さんもまた、打ち合わせの中でメンバーが置いてけぼりになっていないかを気にかけ、さりげなくフォローする。年齢が親子ほど離れていても、気軽に話せる関係性が、プロジェクトを支える土台になっている。
 

「自走」が生まれた瞬間。チームが変わり始めた4月

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参画から1年が経つ頃、チームに変化の兆しが見え始めた。
 
「4月くらいから、メンバーが自分たちで考えて、自分たちで進めるようになってきたんです」と田中さんは話す。
「自分が一人で動いているんじゃない。みんなでやってきたことが少しずつ実ってきている。その実感が、一番のやりがいですね」
 
セキュリティ案件特有の難しさについても、二人は率直に語る。
 
「一般的なシステム運用保守とは違って、決まった形のないものを作っていく。枠組みから自由に作れる面白さがある一方、適当なことは絶対に言えない。時には厳しいことも伝えなければいけない立場でもあります」(田中さん)
 
そうした緊張感のある仕事だからこそ、顧客からの評価も具体的な言葉として返ってくる。
 
「いろいろなことをまとめてくれて、我々のシステムを知って、理解してくれ、なおかつ提案までしてくれる。そんな外部の業者は他にいない、と直接言っていただけたことがありました」
 
内藤さんも、顧客社員から日常的に資料の在り処を尋ねられるほど、現場に溶け込んでいる実感があるという。「チームの一員」として認められている証だ。
 

「顧客に伴走する」を、自分の言葉で語るなら

今回のインタビューで最も印象的だったのは、二人がそれぞれの言葉で「伴走」を語ってくれたことだ。
 
田中さんはこう表現する。
 
「伴走するというのは、結局、お客様を好きになれるかどうかなんです。どんな会社なのか、どんな人がいるのか。そこを理解しようとすることで、自然と親身になれる。
人と人との縁を大切にしたいんです。その中で、以前、現場執行役員から「本社で突然の停電が発生して社内ネットワークが使えなくなった際に、ネットワーク復旧に尽力して貰えたことが、印象に残っていて信頼関係が深まった」と、伝えられた事があり、この時にはつい目頭が熱くなりました」
 
内藤さんの答えは、もう少し実務的な視点からのものだった。
 
「お客様と私たちがどれだけ話しやすい環境をつくれるか。そのために何ができるかを常に考えています。『ここはできます』と一つ一つ積み重ねていった結果、様々な場面で頼ってもらえるようになりました」
 
二人に共通しているのは、技術力の提供だけでは終わらせない姿勢だ。田中さんは「作って終わりではなく、効果をどう評価していき、セキュリティシステム、基準や体制に至るまで深く根付かせることがセキュリティガバナンスの本質」と語り、
内藤さんは「技術だけでは解決しない部分を、仕組みとして根付かせていきたい」と次のフェーズを見据えている。
 

セキュリティのキャリアに、怖がる必要はない

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最後に、セキュリティ分野へのキャリアを考えている読者へ、二人からのメッセージを聞いた。
 
「ネットワークやインフラの経験がある人は、実はもうセキュリティのエッセンスを持っています。クラウドや生成AIの台頭で、どの会社もセキュリティを真剣に考えるようになった。仕事の場は確実に増えています」(田中さん)
 
内藤さんは、未経験からの挑戦についてこう励ます。
 
「いきなり高度な技術が必要なわけじゃない。怪しいメールを開かない、といった基本的なところから始められます。経営層も会社全体でセキュリティを見るようになってきているので、小さな成果が見えやすい環境でもある。専門技術を極める道も、マネジメントに進む道も選べます」
 
ゼロから組織のセキュリティガバナンスを築き上げていく仕事に、平坦な道のりはない。それでも、顧客と本気で向き合い、信頼を積み重ねていくプロセスには、技術支援だけでは得られない手応えがある。
 
本プロジェクトは、パソナにとっても「顧客伴走」のひとつのモデルケースになりつつある。今後は教育・継続改善のフェーズへと進んでいく予定だ。この取り組みの今後にも、引き続き注目していきたい。
 
田中 陽太郎
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第1エンジニア室 クラウドソリューション第2チーム 情報セキュリティ強化プロジェクト 現場リーダー。
ネットワーク・インフラ分野で約25年の経験を積み、45歳でパソナへ入社。前職でのセキュリティ業務経験を活かし、現在はベンダー折衝や顧客のセキュリティ標準化を推進する。
 
内藤 悠貴
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第1エンジニア室 クラウドソリューション第2チーム 情報セキュリティ強化プロジェクト セキュリティ施策担当。
芸術系大学で映像を専攻後、映像業界を経てIT業界へ転身。パソナの未経験者向けエンジニア育成制度(Engineer-Pass制度)で入社し、ネットワーク構築業務を経て現プロジェクトに参画。